
ジェローム・パイエット
Jerome Pailliette
忍術京都 戸隠流忍法道場|指導者
私の武道の歩みは、8歳で始めた松濤館空手から始まります。約6年間の稽古を経て、1988年から忍術を学び始めました。その探究はやがて、身体や感覚を養い、状況に応じて動くための忍法へと広がっていきました。
1999年から日本で初見良昭先生のもとに学び、2006年に京都へ移りました。現在も京都で戸隠流忍法の稽古、研究、指導を続けています。経験を重ね、伝える責任を考えながら、私自身も学び続けることを大切にしています。
歩み
武道と忍術の修練

- 幼少期
武道との出会い
8歳から松濤館流空手を6年間学び、姿勢、礼、反復、身体鍛錬の基礎を培う。
- 1988
忍術の実践を開始
忍術の研究と稽古を始め、体術、武器、間合い、適応の学びを継続する。
- 1999
日本での修練
日本で初見良昭先生の教えを学び、技の背後にある身体運用と忍法の考え方を深める。
- 2006
京都での稽古と指導
京都へ移住。自然環境を活かした戸隠流忍法の実践と指導を続ける。

2006年、京都での指導を始めた頃のジェローム・パイエット。本人提供の写真。
子供の頃の憧れから、稽古を通した探究へ
幼い頃、私は忍者という存在に惹かれていました。危険に向き合い、難しい状況でも道を見いだし、優れた身体能力や判断力によって生き抜く姿を思い描いていたのです。それは子供の頃の想像でした。稽古を重ねるにつれ、その憧れは、より現実的で人間的な学びへと変わっていきました。
求めていたのは、戦うための技だけではありません。身体と心、戦略、感覚、自制、そして自他を守る力を、つながりのあるものとして学びたいと考えていました。自分の限界に向き合いながら学ぶ中で、忍術への関心は、より広い意味での忍法の探究へと深まっていきました。
フランスで様々な指導者を訪ねて学ぶ中で、日本でさらに稽古を続けたいと思うようになりました。1999年から初見良昭先生のもとで学び、戸隠流忍法をはじめとする武道の伝承に触れました。ここでお伝えしているのは、その出会いと稽古についての私自身の経験であり、伝承の歴史を証明するためのものではありません。
初めは技を求めていましたが、やがて、間合いをどう捉えるか、危険をどう察知するか、動きをどう理解し、変化に対応するかという問いが生まれました。2006年に京都へ移ってからも、こうした問いを稽古と研究、指導の中で考え続けています。
技だけにとどまらない、個人としての学び
私自身の歩みには、真言密教や修験道への関心と学びもあります。規律や忍耐、内面の変化、自然との関わりを考えるうえで、大切な影響を受けてきました。無常、慈悲、謙虚さという視点は、技の有効性だけでは捉えられない、自分のあり方を見つめるきっかけになっています。
これらは、あくまで私個人の学びです。戸隠流忍法の正式な教習内容として位置づけるものではなく、道場で忍術の必修事項として教えているものでもありません。私の武道の稽古においては、自制を養い、他者への接し方を省みるための支えとなっています。
指導方針
変化に応じるための稽古
現在の稽古では、力で押し通すよりも、自然な動きと状況への対応を重視しています。動く時機、間合い、崩し、身体の理解は、相手や足場、周囲の状況を観察することで意味を持ちます。危険を察知し、落ち着きを保つためには、技の形だけにとどまらない注意が必要です。
基本は学びに欠かせません。身体の使い方を丁寧に確かめるための手がかりになります。ただし、動かない相手や常に協力してくれる相手に、決まった動作を繰り返すことだけが目的ではありません。安全と一人ひとりの段階に配慮しながら、変化し、予測しきれない状況にも対応できるよう、少しずつ稽古を深めていきます。
理解は、経験と修正を重ねる中で育つものだと考えています。今わかっていることと、まだわからないことを見極め、稽古の中で確かめ続ける姿勢を大切にしています。

京都で伝える戸隠流忍法
自然は、動きの正しさをごまかせない師です。
桜の森の不整地では、足元、距離、周囲の人や木々を常に感じる必要があります。その環境の中で、一人ひとりの経験と身体に合わせて、安全に基本から指導します。映画や舞台の忍者を演じるのではなく、観察し、適応し、身を守り、生きるための感覚を育てることが目的です。
指導は日本語・英語・フランス語に対応しています。京都での活動は、京都新聞、産経新聞、関西テレビ「よ〜いドン!」などでも紹介されました。
私にとって稽古は、肩書きや段位、地位、評価を求めるためのものではありません。経験を重ね、謙虚に続けることを大切にしています。指導には、学ぶ方々への責任が伴います。役立つ手がかりを伝え、それぞれの歩みに目を配りながら、自分自身も学び続けたいと考えています。
「続ける。耐える。守る。そして伝える。」


